早稲田政経学部が数学必修化に踏み切る真意 数学だけではない入試改革の真の狙いとは?

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早稲田大学の看板学部、政経学部の入試が大きく変わろうとしている(撮影:今井康一)

早稲田大学政治経済学部の入試改革が教育業界に波紋を広げている。6月7日、現在の高校1年生が受ける2021年度一般入試から、受験者に数学を必ず課すと発表したのだ。

現在同学部の一般入試では、外国語・国語の2科目と、世界史・日本史・数学の3科目から1科目を選択することを求めている。

今回の入試改革では、現行の学部独自試験である3科目受験を廃止。一般入試受験者には「大学入学共通テスト」(大学入試センター試験に代わって始まる共通テスト)を課し、さらにTOEFLのような英語民間検定試験と、政治学や経済学に関する日英両言語の長文読解の記述式試験の受験が求められる。

数学の必須化とは、大学入学共通テストの数学Ⅰ・Aを受験することが必要になることを指す。

数学必須化で受験者減少も

これまで私立大学の文系学部のみを受験する学生たちは、「国語、英語、地歴公民(社会)の3科目のみを勉強して備える」(首都圏私立高校教諭)のが当たり前だった。早稲田の政経学部は、いわばその象徴といえる学部だった。

駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長は、「私大文系だけを受ける層の選択肢から早稲田政経は外れるだろう」と、今後同学部の受験者が減少するとみる。そのうえで、石原氏は「国公立大学受験者にとって数学Ⅰ・Aは決して難しくない。早稲田政経は国公立大学志望者の併願先になっていくのではないか」と受験者層の変化を予測する。

こうした見方に対し、早稲田大学政治経済学術院長(政治経済学部長)の須賀晃一教授は「現行の一般入試でも選択科目である数学、日本史、世界史の選択者の割合はそれぞれ4割、3割、3割と、数学選択者が実は最も多い」と数学を必須化しても受験者数に大きな影響は出ないとみる。そして、須賀教授は「数学を多用する経済学はもちろん、政治学でも統計・数理分析など数学が求められている分野が増えており、数学的なロジックに慣れ親しみ続けてほしい」と数学必須化に込めた狙いを解説する。

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